御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「……これ、才賀先生の?」
副社長が、ふいに私の体の下敷きになっていた資料を手に取る。デスクの上には他にも彼の資料が散らばっており、それらを眺めた彼は感心したように頷いた。
「芦屋さん、気合い入ってますね。頼もしいです」
「い、いえ。私、恥ずかしながらあまり才賀先生のブランドに詳しくなかったので、今からでも必死に勉強しないと、先生にも失礼だと思って」
「なるほど。努力家のあなたらしいです。……でも、居眠りはいただけないな」
苦笑しながらやんわりと叱られ、自分が情けなくなる。
本当に、副社長の言うとおりだ。才賀先生に失礼のないようにと勉強を始めたはずが、彼の資料を枕にして寝るなんてそちらの方がよっぽど失礼だ。
思わずがっくりとうなだれる。
「反省してます……」
「そんなに落ち込まないでください。芦屋さんが不真面目だから居眠りをしたわけじゃないのはよくわかっています。でも、今日は本当にお疲れのようなので僕に送らせてください。車で来てますから」
「いえっ。ひとりで帰れますからお気遣いなく……!」
「そう言わずに。せっかくですからプロジェクト前に親交を深めましょう」
夢の中で聞いたセリフに似た言葉を吐かれ、ついどきりとして反応が遅れた。
副社長はニコニコしながら私が帰り支度を始めるのを待っている。