御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
先週も食事を断ったばかりなので、断りづらい……。
とはいえ、送ってもらったところでさすがに夢と同じような展開になるはずはないよね。副社長ともあろうお方が、あんなセクハラじみた行動を取るなんてありえないし。
万が一、いや億が一迫られたとしても、私が流されないようにすればいいだけだ。
「で、ではお言葉に甘えて……」
「よかった。芦屋さんとゆっくりお話ししたかったんです」
副社長が少年のように屈託なく微笑む。送ってもらうだけとはいえ、そういえば彼の誘いを承諾するのはこれが初めて。そんな風に無邪気に喜ばれると、不覚にもドキッとしてしまう。
「……すみません、強引に誘って。今さらですが本当に大丈夫ですか?」
廊下を歩いていると、ふいに副社長が顔を覗き込んでくる。
「えっ?」
「ほら、前に男性不信とか言ってたじゃないですか。もしも無理して僕に合わせてくれたんだとしたら申し訳ないなと。ふたりきりになるのが怖いならタクシーの方がよかったですか?」
私、副社長にそんなこと言ったっけ?
そういえば公園で会った時、つい勢いで口走ってしまったかも……。
「い、いえ。男性不信といっても、乱暴された経験があるとかそういうのではないので大丈夫です」
って、馬鹿正直に答えすぎ?
タクシーの方が緊張しなくて済んだかもしれないのに。