御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「べ、別に副社長にお話しするようなことではありません」
「それは残念です。〝僕のことをよく知ってもらった〟から、そろそろ聞いてもいいかなと思ったんですけど」

 もしかして、さっきプロフィールをぺらぺら喋っていたのって、私の男性不信の理由を聞き出すためだったの? 理屈は通っているけれど、どちらかというと屁理屈だ。

「あの、よく知ってもらうっていうのは、一方的に自分のことを話せばいいと言うわけでもないと思いますが」
「すみません、確かにその通りですね。じゃあ、芦屋さんのことも教えてもらえますか?」

 反省しているかのように見えたのは一瞬だけ。副社長はすぐに気を取り直したようで、そう言った。

「なんでそうなるんですか」
「プロジェクト前に親交を深めようと言ったじゃないですか。その一環です。好きな食べ物は?」
「ぎゅ、牛肉、です」

 彼の勢いにのまれるようにして、つい答えてしまった。好きというか、節約生活のおかげで牛肉にありつける機会が激減しているため、単に飢えているともいえる。お財布に優しいのは、鶏か豚なのだ。

「なるほど。僕も好きですよ、牛肉。じゃあ嫌いな食べ物は?」
「……厚揚げ」

 こちらも節約生活の弊害。肉以外のたんぱく源として一時期厚揚げばかり食べていたら、さすがに飽きてきて、見るだけでうんざりするようになってしまった。

 味が悪くないのはわかっているんだけど……。

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