御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
日系ホテルとしての人気はある程度定着していたそうだけれど、長らく海外のホテルチェーンに売上高で後れを取っていたそう。
そこへ彼が送り込まれると同時に売上アップのための大改革が行われ、『ハワイアンリゾート・ミカド』は二年かけてとうとう売上高トップの地位に上りつめた。
そして今年の春、その輝かしい功績を引っ提げて帰国した彼は、御門ホテルの副社長に就任したというわけだ。
「び、びっくりした……。副社長、音もなく近づいてこないでください!」
「ごめんなさい。そんなに驚くとは思わなくて」
副社長という立場でありながら、年齢は私よりふたつも若い二十七歳。
ぱっちりとした二重の目を人懐っこく細めて笑う表情は、女性社員がこぞって『黎也スマイル』と称している、副社長の得意技。
俳優顔負けの美麗な顔立ちに、こうして社員に気軽に声をかける親しみやすさも相まって、彼は常にたくさんの人を魅了している。
しかも独身なので、あわよくば自分が結婚相手にと夢見ている女性社員も多い。
私は断じてその一員ではないけれど、仕事に関する彼の判断力には一目置いていた。
彼がまだハワイに行く前。役職につかず、あちこちの部署で経験を積んでいた頃のこと。副社長はリーシング部にも研修にやってきて、私はその指導係を命じられたのだ。