御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
きちんとアポを取っていたのでスムーズに案内してもらえ、受付から見えていたひとつの部屋の前で、受付の女性がドアをノックする。
「先生、御門副社長とリーシング担当の方がお見えになりました」
「ああ、入ってもらって」
女性に促され、目下仕事中であるという才賀先生の部屋へと足を踏み入れる。
南国風の観葉植物がいたるところにあり、インテリアもどこかリゾート風だった。
なにも身に着けていないトルソー、壁に貼られた色とりどりの生地のサンプル、ミシンにアイロンなど、ファッションデザイナーの仕事場らしいアイテムも多く、目に映るものがどれも新鮮で、ついキョロキョロしてしまう。
部屋の奥で机に向かっている才賀先生は一心不乱な様子でスケッチブックに鉛筆を走らせており、私たちは手前の応接用ソファを勧められた。
私たちがそこに腰かけると受付の女性は一度席を外し、私たちは静かに先生の手が空くのを待つ。
状況が変わらないまま五分ほど経った頃、先ほどの女性がお茶を出してくれた。
丁重にお礼を言った後は、また先生の仕事が終わるのを待つ。デザイン画が完成したのか、先生はスケッチブックを掲げてジッと眺めている。