御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

 あのチェックが済んだらお話しできる……?

 先生の目がそろそろこちらに向いてくれそうだと背筋を伸ばしたその時、先生は今描き上げたばかりのスケッチブックのページを、ビリリッと派手に破いた。

 くしゃくしゃに丸めることすらしなかったものの、そのままポイッと床に投げ捨てる。

 それから、新しいページにまたなにか描き始めた。

 思わず、隣にいる副社長と目を合わせる。

「私たち、忘れられてませんよね……?」
「……おそらく」

 そうは言いつつも、さすがに副社長も少し困惑した様子。かといって『まだですか』なんて催促するわけにもいかないので、私たちはそれからしばらく彼が仕事を切り上げるのを待った。


「……っあ~。今日はダメだ。ダメダメ。散歩に行こうっと」

 え。散歩?

 信じがたい発言が聞こえたのは、あれからまたさらに三十分ほど待った後のこと。椅子から立った才賀先生が大きく伸びをして上着を羽織ろうとしている。

 さすがに副社長と目を見合わせ、思わず声を上げて彼とソファから立ち上がった。

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