御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「お待ちください、才賀先生……!」
「ん? あなた方は?」
才賀先生の大きな目が怪訝そうに私たちを見つめる。
なんと、忘れられていたらしい。
さっきのタイミングで声をかけておけばよかった……!
「御門ホテルから参りました。副社長の御門です」
「リーシング部所属の芦屋と申します。本日は、御門ホテルの改装に伴うテナント出店のご依頼の件で参りました」
順に自己紹介をして名刺を渡した後、私は手土産を袋から出して先生に差し出す。
「こちら、よろしければ事務所の皆さんで召し上がってください。無添加の焼きドーナツです」
「あ、俺の好きな店の……ありがとう。ええと――」
「芦屋です」
「芦屋さんね。……ふうん。御門ホテルってさ、給料安いの?」
舐め回すように私の全身を眺めた才賀先生が、唐突に尋ねてくる。
「えっ?」
「いや、だってきみさ、頭のてっぺんからつま先までプチプラ祭りじゃん? せっかく素材がいいのにもったいないな~と思って」
パッと見で安物を身に着けていると言い当てられ、羞恥で頬が熱くなった。