御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
いくら御曹司とはいえ、お客様のように扱ったら本人に失礼だし、会社の将来のためにもならない。そう考えた私は普通の後輩に接するように仕事を教えた。
彼の方もわからないことはわからないと言ってくれたし、素直に私の指導を受け入れてくれたから、とくに気負うこともなくスムーズに仕事ができたのを覚えている。
それから半年で知識も経験もスポンジのように吸収して自分のものにした彼は、あっという間に次の部署へと移っていった。
そんな当時の記憶があるから、彼が副社長となった今でも、ふたりきりの時はついお互い立場を忘れ、気楽に話してしまう。
「副社長がこちらを選んだ理由って?」
「実は今回の改装に伴って、ある日本人ファッションデザイナーが手掛けるブランドをキラーテナントとして誘致したいと思っています。エリア全体の一体感に繋げるためには、そのデザイナーが作る服と親和性があるシューズブランドの方がいい」
キラーテナントとは、商業施設の中でもとくに魅力的で、集客を見込めるテナントのこと。
一般的なショッピングモールでは大衆的なブランドがそれにあたるが、御門ホテルのショッピングエリアでは傾向が少し違う。
利用客にセレブリティが多いため、世界的なハイブランドや上質なメイドインジャパン製品を取り扱う店に、人気が集まりやすいのだ。
日本人デザイナーのブランドは、確かに受けがいいだろう。