御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
『ありがとうございます。でも、大丈夫です』
『そうか。さすが、社長になる男は違うな』
『いえ。……まだまだです』
謙遜しているわけではなく、本心だった。このままでは父の後を継いで社長になることなど到底できない。
リーシング部で働いた経験を経て、俺は自分の立ち位置や実力を、正しく測れるようになっていた。
また、それまで受け身だった自分を脱し、自分がどういう経営者になりたいか、御門ホテルをどう発展させていきたいのかを積極的に考えるようになったのも同じ頃だ。
そんな俺の内面的な変化を父も評価したのか、翌年から二年間は、海外展開している御門ホテルの中でも売上高の面で少し遅れを取っていた『ハワイアンリゾート・ミカド』の総支配人を任されることになる。
日本から離れた地で仕事をするのは、芦屋さんへの想いを秘め、自分を成長させるのにちょうどいい機会だった。
いつか帰国した時に胸を張って彼女に会いに行けるよう、俺はホテルの最高責任者として、売り上げを伸ばすための改革を次々と行った。
年若い御曹司ということで最初こそホテルスタッフからの風当たりはきつかったが、実力主義の海外らしく、結果がついてくるとなにも言われなくなった。
たっぷり二年の月日をかけ、ハワイの地でようやく売上トップのホテルとして認められると、社長である父から帰国の許可が下りる。そして、帰国と同時に俺を副社長に据える考えだと聞かされた。