御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
好きな相手が自分の選んだ服を身に着けているというのは、なかなか悪くないな……。
俺に全身を見られて恥ずかしそうにする芦屋さんを堪能しながら、心の中で思う。
今日の彼女は、仕事の時にはきっちりポニーテールでまとめている髪を、ゆるめにざっくりまとめて大きなクリップで留めている。そんなオフっぽいヘアスタイルにも、胸がときめいていた。
「着心地はどうですか?」
「えっと……すごい軽くて肌触りもいいんですけど、その……」
彼女が気にしているのは、値段のことだろう。ハイブランドと言って差し支えないこの店の価格帯は、才賀先生のブランド『誉―HOMARE―』とだいたい同じか、少し上。
ここできちんと芦屋さんに似合うものを選べば、彼も文句は言わないだろうと考えてのことだ。
「じゃ、買いましょう。あとは靴と……胸元が寂しいので、店を移動してネックレスも探しに行きましょうか」
「ふ、副社長……それはさすがに買いすぎでは」
「才賀誉を落とすためです。ほら、早く脱いで」
急かすように声をかけると、芦屋さんは顔を真っ赤にして試着室の扉を勢いよく閉めてしまう。
元の服に着替えて、というつもりで『脱いで』と口にしたつもりだけど、少々配慮のない発言だったかもしれない。
だからといって今さら謝るのも変なので、反省するだけにとどめておく。