御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「だって……副社長にここまでしていただく心当たりがないというか、前にも言いましたけど、私にはなにもお返しすることができないので」
仕事に関しては堂々としている彼女だが、どうしてプライベートでは急に自信を失ってしまうのか。そこにはやはり、過去の恋愛が関係しているように思えてならない。
「別にいらないですよ。見返りはこうして一緒にいてくれるだけで十分だと前にも言ったはずです」
「ですから、どうして私なんかに……」
俺のアプローチには彼女だって気付いているはず。なのに、あえてそこから目を逸らそうとしている。
自立している大人の女性である彼女が〝私なんか〟と口にしてしまうほど、自信を失わせたのはいったい誰だ?
その相手に無性に腹が立つのと同時に、俺の気持ちは直球でぶつけてしまった方が、臆病な彼女の心には届く気がした。
「リーシング部で仕事を教えてもらっていた頃です。俺が初めて美冬さんに惹かれたのは」
彼女を初めて、下の名前で呼んだ。同時に一人称も、プライベート用と切り替える。
「えっ……?」
「その気持ちは、ハワイで二年過ごしている間も変わりませんでした。だから今、こうしてあなたの気を引こうと必死なんです」
嘘偽りない思いを告げ、彼女をジッと見つめる。美冬さんの瞳は迷うように揺れたものの、やがて彼女は目を伏せてしまった。