御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「これは、才賀先生との交渉を円滑に進めるための作戦会議……あくまで仕事の延長だったはずです。関係のないお話を続けるようなら、私は帰ります」
不快感をあらわにする彼女から感じるのは、強い拒絶。しかし、俺個人に対してどうこう思うというより、恋愛そのものから自分を遠ざけたいように見える。
彼女の心をそうまでかたくなにしている原因がわからず、もどかしさから胸の奥がちりっとした痛みを覚える。
美冬さんの気持ちをほどくには、もう少し時間が必要なのかもしれない。
「……失礼しました。作戦会議と言ったのは僕でしたね」
俺は踏み越えようとしていた境界線から一歩引いて、上司としての顔を取り戻す。
美冬さんはあからさまにホッとした表情になり、彼女に触れられたくない傷があるのは明らかだった。
それがわかっただけでも一歩前進だと自分に言い聞かせ、その夜は純粋に食事を楽しむことにする。そして才賀先生の件について、美冬さんと意見を交わすことにただ集中するのだった。
数日後、俺は仕事で御門ホテル本社から近いコンビニエンスストアの視察に訪れていた。
一般的なコンビニとは違い、百貨店などに店を構える高級スーパーが新しい事業形態として先月オープンさせた高級志向のコンビニ、その一号店である。
新しいコンビニの形として瞬く間に世間の注目を集めたその店を、御門ホテルのショッピングエリアの改装に合わせ、誘致する予定なのだ。
リニューアルの目玉は『誉―HOMARE―』の出店に限らず、こうして色々な手札を用意している。