御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「お客様、どうされました……?」
「この方、どうやら詐欺被害に遭っていたようなんです。電話をしながら操作されていたのでまさかと思って気にしていたのですが、『還付金』という言葉が聞こえたので心配になって声をかけたら……」
美冬さんがそこまで説明すると、老婦人が申し訳なさそうに話し出す。
「区役所の職員さんを名乗る方から、今日中にATMで手続きしないと還付金は受け取れないと言われて……少しおかしいような気もしたんですけど、つい言われるままに」
「それで、振込みされてしまったんですか?」
慌てた様子で担当者が尋ねると、美冬さんがきっぱり「いいえ」と言った。
「振り込み操作の寸前でお引き留めすることがでいたので、お金の移動はないはずです。でも、一応警察を呼んだ方が」
「そうですね、すぐに。いや~、うちのATMから詐欺被害が出なくてよかった……!」
コンビニの担当者は派手に安堵の息をつき、電話をかけるためバックヤードへ姿を消す。
これから警察も来るだろうし、視察の続きはまた別日にした方がよさそうだ。
「それにしても、よく気づきましたね。大手柄じゃないですか」
美冬さんの機転に心から感心した俺は、彼女に歩み寄ってその行動を称賛した。