御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「ええ。あのダサダサだった担当者がこんなにかわいく変身してくるなんて、いいもの見せてもらったしね。付け焼刃だとしても、なかなかいいセンスしてると思うよ、きみ」
「えっ? あ、この服は……」

 唐突な褒め言葉に動揺し、視線が泳ぐ。そもそもこの服を選んだのは私ではないのだけれど、せっかく交渉がうまくいったこの雰囲気では、本当のことが言いづらい。

「勉強した甲斐があったな、芦屋」

 真実を知っている谷村さんも、ここは才賀先生に合わせろと言わんばかりに、私の肩をポンと叩く。

 私もその意図を汲み、「恐縮です……!」と頭を下げた。

「せっかく出店するんならさ、店のど真ん中に特別な服を飾りたいと思うんだ。俺なりに御門ホテルをイメージした、特別な一着を」

 さすがは芸術家、という感じて突然スイッチの入った才賀先生が、頭の中のイメージを楽しそうに語ってくれる。初回の訪問時にあんなにやる気がなかった彼とは別人みたいだ。

「素敵だと思います……!」
「といってもまだ漠然とした案だから、もう少し具体的にイメージが固まったら連絡します。他の仕事もあるから、スケジュールも調整しなきゃならないし」
「その辺りは、できるだけ先生のご都合に合わせて調整しますので、随時ご相談くださいね」
「ありがとう」

 その後は契約締結に向けての事務的な説明を行い、内容に承諾をもらえたところでいったん事務所を後にする。

 次は才賀先生の方から御門ホテルの本社に出向いてもらい、契約書にサインをもらう手筈になった。

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