御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
副社長になり、色々な顔を使い分けることが上達したであろう今の彼に、あんなにまっすぐ思いをぶつけられて、正直、私の心は揺れた。
自分に言い寄る男性は、なにか他の目的がある。元恋人との失敗からそう学んだからこそ、今まで彼をあしらってきたけれど……。
『その気持ちは、ハワイで二年過ごしている間も変わりませんでした。だから今、こうしてあなたの気を引こうと必死なんです』
彼の言葉が本当だとしたら……いや、本当かどうかなんて、すぐにはわからない。
前の彼氏とだって、最初の頃は幸せなお付き合いをしていた。相手がしっかり騙されるまで、本性を現さないのが向こうの作戦なのだ。
だから、副社長がいくら一途な男性に見えたって……信じてはダメ。
あくまで、仕事上のお付き合いに留めておくのが身のためだ。もう奪われるものなんてなにもないほど、こちらはボロボロなんだから。
複雑な気持ちを抱えたまま、谷村さんの運転する車に揺られていたその時。手に握っていたスマホが震え、副社長からの着信を知らせる。
先ほどのメールを読んでの反応なのだろうけれど、仕事とは関係ない部分で彼のことを考えていたところだったので、ドキッとして一瞬出るのが遅れた。