御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「お疲れ様です、芦屋です」
『御門ですが、今大丈夫ですか?』
「はい。今、谷村さんと会社に戻るところです」
『才賀先生、承諾してくださったんですね。お手柄じゃないですか』
二週間前、一緒に悔しい思いをした副社長も喜んでくれているのだろう。弾んだ声で褒められて、素直にうれしくなる。
「ありがとうございます。でも、私だけの力じゃないです」
『そういえば、服も褒められたとか』
「はい。二週間前はダサダサだったのに、かわいく変身したって言ってもらえました。副社長のおかげです。ファッションデザイナーの方に褒められると、ものすごく恐縮しちゃいますね」
才賀先生に言われたことをほとんどそのまま伝えると、副社長が突然電話の向こうで黙り込んだ。
私、なにか変なこと言った……?
『……先生に他意はなかったとしても』
先ほどまでとは打って変わって、まるで怒っているかのような低い声だった。怪訝に思いながら耳を澄ませる。
『さすがに〝かわいい〟は妬けるな』
妬けるって……才賀先生に嫉妬したってこと?
まさかと思いながらも、心臓が勝手に暴れだす。