御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
副社長が連れてきてくれたのは、小ぢんまりとして温かみのある紅茶専門店だった。
アンティークのインテリアに囲まれた店内で、スタッフが丁寧にポットから注いでくれた黄金色のダージリンは、とても優しくスッキリとした味わいだ。
……私の暗い恋愛話をするのが申し訳ないくらい。
「起業と投資?」
「はい。それでお金が必要だからと、ちょくちょくお金を貸してくれと頼まれて……でも、今となっては本当は何に使っていたのかわかりません」
私だってまったく直樹を怪しまなかったわけではない。ただ、自分が騙されていると認めたくなくて、現実から目を逸らし続けていた。
そういう意味では、いつかタワマンの最上階に住もうと夢見がちなことを言っていた彼と、大して変わらないのかもしれない。
「じゃあ、美冬さんの節約生活も峰田のせいで?」
「はい。以前住んでいたところの家賃が払えなくなりそうだったので、今のアパートに引っ越して……家具や家電を売ったりもしました。もちろん、きちんと会社からお給料をもらっているので生活には困ってませんけど、将来のことを考えたら贅沢はできなくて」
自嘲するように言って、視線を紅茶に落とす。彼の方を見なくても、気の毒そうな視線を向けられているのがわかった。