御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

 決意を新たにしながら、社長室を出て同じフロアにある自分の部屋に戻る。

 あと十分で正午という時間だったので、軽い空腹を覚えながらもデスクに向かい、隙間時間で済ませられる事務作業に勤しむ。

 そうこうしているうちに時計の針が十二時を過ぎたので、休憩しようと立ち上がる。

 平日の昼は会食が入ったり、御門ホテルの厨房からお呼びがかかって新メニューの試食をしたりすることも多く、自由に好きなものを食べられる日は少ない。

 しかし、今日はとくに予定のない昼休みを迎えられたため、なにを食べようか考えるのを楽しみつつ、部屋を出る。

 と、ちょうどその時、スーツのポケットに入れていたスマホが鳴った。

 リーシング部の部長、谷村さんからだ。

「はい、御門です」
『お疲れ様です。谷村です。少し、副社長のお耳に入れたいことが』
「……なんでしょう?」

 リーシング部の部長じきじきに俺に連絡してくるということは、なにか大きなトラブルでもあったのだろうか。エレベーターの方へ向かっていた足を止め、彼女の話に耳を傾ける。

『芦屋が、朝イチで才賀先生の事務所へ呼ばれてからなかなか戻ってこないんです。本人に連絡しても出ないので事務所に問い合わせたところ、才賀先生が芦屋の服を仕立てようとデザイン画を描き始めたらしいんです。デザイン画が完成次第、芦屋本人の体の採寸も始めるらしいと』
「体の、採寸……?」

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