御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「それじゃ、次の連絡まで気長に待っててね、芦屋さん」
「はい。ありがとうございます」
「お迎えも来てちょうどよかった。副社長さん、俺のミューズを傷つけたら許しませんよ」
「〝俺の〟……?」
才賀先生が口にしたひと言にぴくっと眉が震え、またしても彼に敵対心たっぷりの視線を向けてしまう。
彼の行動には意図が不明な部分も多いが、美冬さんを狙っているのだとしたら黙ってはいられない。
「生憎ですが、彼女は僕との結婚が決まっています」
「ちょ、副社長……っ!」
その話は公表すべきでないでしょう! という焦った顔で、美冬さんが俺を見つめる。
ごめん、美冬さん。下着姿を見てしまった件と合わせて後で謝るから、今はこの食えないファッションデザイナーをけん制させてほしい。
あからさまに気色ばんでいる俺に対し、才賀先生は顔色ひとつ変えずに微笑んでいる。
どうしてそんなに余裕ぶっているのか。まさか、俺が駆けつける前に美冬さんに手を出したわけじゃないだろうな……?
「なにを勘違いされているのか知りませんけど」
才賀先生が顔の左側にかかる長い前髪をかき上げ、ため息を吐く。それから、目の前まで歩み寄ってくると、俺の肩にポンと手を置いた。
「俺は芦屋さんにはフラれてますし、彼女をここに呼んだのはあくまで仕事の話をするためですよ。だから彼女を叱らないであげてくださいね」