御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
才賀先生が、美冬さんにフラれてる……?
どういうことなのかと美冬さんを見下ろすと、同じく俺を見上げていた美冬さんと、ばちっと目が合う。彼女はポッと頬を赤く染めると、思い切り俺から顔を背けた。
「ふ、副社長、帰りますよ!」
「えっ? ええ。もちろん帰りますけど、まだ気になることが……」
「それでは才賀先生、失礼します!」
美冬さんは俺のジャケットの裾をむんずと掴み、俺を引っ張るようにして才賀先生の部屋から出ていく。
受付の女性は微笑ましいものを見るように穏やかな顔をして、俺たちを見送った。
外に止めてある車の近くまで来ると、美冬さんがようやくパッと手を離してくれる。
彼女は俺に背を向け気まずそうに俯いている。
「聞きたいことが山ほどあるんですけど、帰りながら話してもらえますか?」
「……答えられる範囲なら」
ぽつりとそう答えた彼女。とりあえず、口をききたくないほど怒っているというわけではなさそうだ。
彼女と共に車に乗り込み、運転席の俺はエンジンをかけて車を出す。なにから話そうか迷ってしまうが、とりあえず一番にするべきなのは、謝罪だ。
「さっきはごめんなさい。谷村さんから、美冬さんが才賀先生に体の採寸をされると聞いて……もしかしたら、彼にセクハラじみた行為をされるんじゃないかって心配になって、ついノックもせず部屋の中に」