御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
今になって気づいたところでもう後の祭りだけれど、教訓にするくらいはできる。同じ過ちを繰り返さないため、今では男性と必要以上に親しくならないようにしている。
だから、これでもかというほど魅力を兼ね備えた年下御曹司に言い寄られたからといって、私の心はなびかない。
むしろ、また騙されるのでは……!? という警戒心の方が先にくるのだ。
恋愛や結婚を完全にあきらめたわけではないけれど、とにかく今は暮らすだけで精いっぱいだし、次に恋人を作るなら絶対に地に足のついた職業で軽々しく甘い言葉を吐かない人がいい――。
電車の心地よい振動にうとうとしながらそんなことを考えていると、自宅の最寄り駅に着く。慌てて扉を出ると、疲れた足取りでホームの階段を上がった。
十分弱歩いて、アパートやマンションが並んだ住宅街に到着する。
よく目立つガラス張りのデザイナーズマンション……の横にある、小ぢんまりとした二階建てアパートが我が家。前の彼氏に逃げられてから慌てて引っ越したお手頃物件だ。
築浅なので清潔感に問題はないが、なにしろ狭いワンルーム。ベッドと机、本棚、空いた中央のスペースにラグを敷いて小さなテーブルを置いたらもうきつきつだ。