御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「そういえば、こういうの学生時代以来かも……」
「ドキドキしてきました?」
「そりゃするよ。あなたより二歳年寄りだから血圧も上がっちゃうかも」

 胸に手を置いて深呼吸をしていると、軽く身を屈めた彼が、私の顔を覗き込む。

「よかった。そのために連れてきたんですから」
「えっ?」
「吊り橋効果で、俺へのドキドキが一、五倍くらいになればいいなって」

 至近距離で内緒話のように囁かれ、みるみる頬が熱くなる。ジェットコースターにはまだ載っていないのに、鼓動が加速してしまう。

 他人の目がないからって、いつもより大胆になってない……?

 彼と手を繋ぐことも、さっきまでは友達感覚のように感じていたのに、親密な態度をとられると急に意識しはじめてしまう。

「恐るべし吊り橋効果……」
「え? なんて言いました?」
「なんでもない。これに乗ったら、次は絶対に穏やかな乗り物に付き合ってもらうからね」
「了解です。それもそれで、美冬さんとの時間をのんびり楽しめそうですしね」

 そう言って彼が浮かべた、渾身の黎也スマイルが眩しい。

 ドキドキするのはなにもアトラクションのせいだけじゃない。吊り橋効果なんてなくたって、彼とふたりきりでいるだけでこの胸はいつも騒がしくなるから……。

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