罠に落とされた生贄姫は、荒野の悪魔の最愛となる
「……わたし?」
「その通りです」
背後にいた黒髪の青年が答える。
「書簡を持っていた侍女。あの女は、明らかにあなたを狙っていた。調べたところ、ナイフには猛毒が塗られていました。閣下があなたの腕を引かなければ、今頃死んでいたでしょう」
「彼が腕を? ……それじゃあ、あなたは」
シルヴィは白銀の男を仰ぎ見る。
「首謀者は、もとより『魔王』を倒せるとは思っていなかったのかもしれません。たとえ使節団が戻らなくとも、王女が死にさえすればいくらでも話を取り繕う事は出来ますからね。……僕たちを悪者にして」
「目的はあくまでも王女の暗殺、魔王退治はそのついで。奴らのシナリオ通りに言うなら、あんたは『魔王』に捧げられた哀れな『生贄』ってわけだ」
青年の言葉を引き継いで『魔王』は「ふん」と、腕を組んだ。
「首謀者とやらがどんなやつかは知らないが、小憎たらしくもよく知恵の回るやつだな」
「考えなし暴れ散らかすに閣下とは大違いですね」
「なんだと?」
「知恵が回ればやつらを一人残らず殺したりしませんよ。おかげで手掛かりがなくなりました」
「……すまん。でもそれは、俺だけの責任では」
「ともかく!」
青年の視線がまっすぐシルヴィに向けられる。
「不本意かもしれませんが、あなたには暫くここに滞在してもらう事になります」
「で、ですが……」
「今戻れば、奴らの思う壺だぞ」
『魔王』がシルヴィをピシャリと制した。
「その通りです」
背後にいた黒髪の青年が答える。
「書簡を持っていた侍女。あの女は、明らかにあなたを狙っていた。調べたところ、ナイフには猛毒が塗られていました。閣下があなたの腕を引かなければ、今頃死んでいたでしょう」
「彼が腕を? ……それじゃあ、あなたは」
シルヴィは白銀の男を仰ぎ見る。
「首謀者は、もとより『魔王』を倒せるとは思っていなかったのかもしれません。たとえ使節団が戻らなくとも、王女が死にさえすればいくらでも話を取り繕う事は出来ますからね。……僕たちを悪者にして」
「目的はあくまでも王女の暗殺、魔王退治はそのついで。奴らのシナリオ通りに言うなら、あんたは『魔王』に捧げられた哀れな『生贄』ってわけだ」
青年の言葉を引き継いで『魔王』は「ふん」と、腕を組んだ。
「首謀者とやらがどんなやつかは知らないが、小憎たらしくもよく知恵の回るやつだな」
「考えなし暴れ散らかすに閣下とは大違いですね」
「なんだと?」
「知恵が回ればやつらを一人残らず殺したりしませんよ。おかげで手掛かりがなくなりました」
「……すまん。でもそれは、俺だけの責任では」
「ともかく!」
青年の視線がまっすぐシルヴィに向けられる。
「不本意かもしれませんが、あなたには暫くここに滞在してもらう事になります」
「で、ですが……」
「今戻れば、奴らの思う壺だぞ」
『魔王』がシルヴィをピシャリと制した。