罠に落とされた生贄姫は、荒野の悪魔の最愛となる
「式典の最中にお前を殺しに来るような奴らだぞ。あんたが父王に会おうとするのをみすみす見逃すと思うのか?王都に足を踏み入れてみろ。今度こそ、間違いなく殺されるぞ。……いいのか、それで?」
間違いなく殺される――。
彼らの言う事は、確かに筋が通っている。使節団そのものが仕組まれたものだという事は、最早疑う余地はない。首謀者の目的がなんにせよ、今自分が殺されてしまえば、真相は闇の中だ。交渉を任された責任を果たす事も出来なくなる。
「……わかりました。あなた方の言う通りに致しましょう」
「そう言ってくれると思った」
黒い影がにっと笑った。
「今回は少しやりすぎたが、手掛かりが無くなったのはあっちも同じだ。そのうち何かちょっかい出して来るだろう。それまでの辛抱だと思って、よろしく頼む」
頭を下げる大男の背後では、青年が相変わらず無表情で立っている。
「迷惑極まりないことではありますが、こちらとしても、降りかかる火の粉は払わなければなりません。……あなたの平和を望む声が本心である事を祈っております」
慇懃に頭を下げるとそのまま部屋を出て行ってしまった。
どうやら自分も信用はされていないらしい。あんな事があったのだから当然だ。
「すまないな」
「え?」
「あんな男だが、悪い奴じゃないんだ」
バツが悪そうに頭に手をやる男を見上げる。
何故この人が謝るのだろう。
……謝るべきは、騒動を持ちこんでしまったわたしの方なのに。
「そういや、まだ名乗ってなかったな。俺はグイド。これからよろしく頼む」
武骨な手が差し伸べられる。
その手をそっと握り返し、シルヴィは今日初めて、彼の顔を真っすぐ見たような気がした。
間違いなく殺される――。
彼らの言う事は、確かに筋が通っている。使節団そのものが仕組まれたものだという事は、最早疑う余地はない。首謀者の目的がなんにせよ、今自分が殺されてしまえば、真相は闇の中だ。交渉を任された責任を果たす事も出来なくなる。
「……わかりました。あなた方の言う通りに致しましょう」
「そう言ってくれると思った」
黒い影がにっと笑った。
「今回は少しやりすぎたが、手掛かりが無くなったのはあっちも同じだ。そのうち何かちょっかい出して来るだろう。それまでの辛抱だと思って、よろしく頼む」
頭を下げる大男の背後では、青年が相変わらず無表情で立っている。
「迷惑極まりないことではありますが、こちらとしても、降りかかる火の粉は払わなければなりません。……あなたの平和を望む声が本心である事を祈っております」
慇懃に頭を下げるとそのまま部屋を出て行ってしまった。
どうやら自分も信用はされていないらしい。あんな事があったのだから当然だ。
「すまないな」
「え?」
「あんな男だが、悪い奴じゃないんだ」
バツが悪そうに頭に手をやる男を見上げる。
何故この人が謝るのだろう。
……謝るべきは、騒動を持ちこんでしまったわたしの方なのに。
「そういや、まだ名乗ってなかったな。俺はグイド。これからよろしく頼む」
武骨な手が差し伸べられる。
その手をそっと握り返し、シルヴィは今日初めて、彼の顔を真っすぐ見たような気がした。