辣腕クールな脳外科医は、偽りの婚約者を甘く堕として妻にする
「小早川さん?」
沙耶の不思議そうな声にハッと我に返った。彼女はポルボロンが入った小さなパッケージを両手で握っている。
(ああ、そうか)
どうやら匠真もお菓子を欲しがっていると思われたらしい。苦笑したいのをこらえながら、聞いたばかりの合言葉を言葉にする。
「ハッピー・アニバーサリー」
「はい、どうぞ! これからもカフェ・プラチナをよろしくお願いします!」
沙耶が大きな笑顔になってお菓子を差し出した。その明るい笑顔をできるだけ長く見たくて、匠真はゆっくりと手を伸ばした。
「ありがとう」
けれど、匠真が受け取るやいなや、別の席から彼女を呼ぶ声がする。
「シロちゃん」
「はーい」
返事をしてから、沙耶は匠真に「それじゃ、失礼しますね」と会釈をした。テーブルを離れていく沙耶の後ろ姿を、匠真は名残惜しい気持ちで見つめた。
沙耶の不思議そうな声にハッと我に返った。彼女はポルボロンが入った小さなパッケージを両手で握っている。
(ああ、そうか)
どうやら匠真もお菓子を欲しがっていると思われたらしい。苦笑したいのをこらえながら、聞いたばかりの合言葉を言葉にする。
「ハッピー・アニバーサリー」
「はい、どうぞ! これからもカフェ・プラチナをよろしくお願いします!」
沙耶が大きな笑顔になってお菓子を差し出した。その明るい笑顔をできるだけ長く見たくて、匠真はゆっくりと手を伸ばした。
「ありがとう」
けれど、匠真が受け取るやいなや、別の席から彼女を呼ぶ声がする。
「シロちゃん」
「はーい」
返事をしてから、沙耶は匠真に「それじゃ、失礼しますね」と会釈をした。テーブルを離れていく沙耶の後ろ姿を、匠真は名残惜しい気持ちで見つめた。