(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
食事を終えてひと段落ついたところで、改めて謝罪された。


「本当に申し訳なかった」


「もういいの。私のほうこそ、勘違いして逃げてごめんなさい」


最初からきちんと向き合って、気持ちを素直に伝えて尋ねればよかったのに。


「沙和はなにも知らなかったんだから、謝らないで」


テーブルの上に置いた私の手が、骨ばった大きな手に包まれる。

その温もりに後押しされるように小さく首を横に振った。


「私は今まで“正しい”“当たり前”と世間一般で言われている道だけを進むのが一番大事だと思っていて、そこから外れるのが怖かった。でも愁さんに出会ってそうじゃないと知った」


愁さんは口を挟まず、黙って耳を傾けてくれていた。


「出会いも再会も、すべてが突然で私の中の“常識”を一気に覆されて、どうしていいかわからなくなって……混乱して、怖くなった」


「沙和はいい意味で真面目だからな」


優しい双眸が真っすぐに私を捉えた。


「あの日も失恋して悲しいはずなのに、相手の幸せを願っていて驚いた」


「だって私が課長を想うように、課長も婚約者を好きなのだから……」


口ごもる私の頬に大きな手が添えられて、額に優しいキスが落ちてきた。


「普通は皆、自分の恋愛を一番に考える」


小さく首を横に振る愁さんの目には迷いがなかった。
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