(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「中途半端な気持ちで千奈との婚約を引き受けた申し訳なさと責任が俺の中にずっとあった。それが沙和に勘違いをもたらす原因になって本当に悪いと思う。失恋で泣く沙和を抱きしめたとき、俺の手で守りたい、涙を拭うのは俺だけがいいと衝動的に強く願った」


真摯な眼差しと熱い想いに心が強く引き寄せられ、声が出なくなる。


「誰かにそんな想いを抱くのは初めてで理由がわからなかった。戸惑ってずいぶん悩んで答えを見つけた。……あの瞬間、俺は沙和に恋をしたんだと」


飾りけのない真っすぐな言葉が胸の奥深くに浸透し、切なく甘い痛みが胸をぎゅっと締めつける。


「でも、あの日の私の態度は散々だったのに……」


泥酔していて迷惑しかかけておらず、正直どこにも魅力的な要素なんてないはずだ。


「そうだな、思いつくままに話して泣いて……それが逆に新鮮で目が離せなかった」


思い出したように相好を崩す愁さんがイタズラに私の毛先をもてあそぶ。

私が逃げ帰った後しばらくして目を覚ました彼は、私と唯一共通の繫がりのある頼子さんに連絡したそうだ。

なんとか私ともう一度会うために画策する彼を予想外に頼子さんが邪魔したらしい。

愁さんの説明に、頼子さんとの過去の会話をおぼろげに思い出す。


「姉貴の目をかいくぐってやっとの思いで沙和に再会した後、本気で大事にする覚悟があるのか姉貴に迫られたんだ。もちろん即答した」


躊躇いなく告げる彼の姿に鼻の奥がツンとして、唇が震える。
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