(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「小さい頃から優秀で常に冷静だし、特別なにかに興味を示したりもしなかったのに。沙和ちゃんにだけはあんなに必死になるんだから」


「休みの日に沙和さんを誘ったら、嫌そうな顔をされるんです。どれだけ独り占めしたいんでしょうね」


「あら、千奈ちゃんも? 私も嫌みを散々言われるのよ。行き先を聞いてくるし、帰りは迎えに来るし、鬱陶しいったらないの」


ふたりの年長者の会話に羞恥で居たたまれなくなる。

愁さんは私が千奈さんやほかの友人たちと外出するのを反対も邪魔も基本的にしない。

当然で、必要な時間だと理解して快く送り出してくれる。

ただ、あまりに頻繁になりすぎて愁さんと過ごす時間が極端に減ってしまうのは淋しいと言われている。

今も愁さんは想いを初めて通わせたときと変わらず私を大切にしてくれている。

言葉で、態度で、その想いを余すことなく伝えてくれる。

ともに暮らすにあたり、愁さんはけじめだと言って両親へ挨拶にも来てくれた。

私の実家は都内から一時間半近く電車を乗り継いだ場所にある。

両親は共働きの会社員で、ふたつ年下の弟は大阪で勤務している。

迎えた両親は彼の端正な容姿と肩書に驚いていた。
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