(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
大好きな場所を変える計画をやり遂げられたら、きっと今より少しは自信がもてる。

勝手な思い込み、自己満足かもしれないけれど、初めての事柄を満足できる形に仕上げられたらひとつの大きな勇気を身につけられる気がしていた。

それに今は銀行業務とカフェに精一杯で、不器用な私は夫婦生活をきちんとスタートできるか心配でもあった。

すべてが自分の都合、我がままなのに全部を包み込んで提案してくれた愁さんの優しさに胸が詰まった。


『違うよ、沙和。俺から説明させて』


やんわりと私を制した愁さんが頭を上げて、話し出す。


『私としては今すぐにでも結婚のお許しをいただきたいと思っています。生意気な言い方になりますが、沙和さんの気持ちをなによりも優先したいのです』


さらに彼は私が説明できていなかったカフェ事業について言及し、完成後に改めて私に求婚する旨を告げた。

あくまでも自分の決断として話す彼の想いの深さに心が震えた。


『ただ私にこらえ性がないので、完成後は必ず婚姻届を記入していただくつもりです』


雰囲気を和らげるようにさらりと口にし、甘やかに口角を上げる。


『沙和があれこれ考えすぎちゃって尻込みするのをよく理解してくださっていて、安心したわ。娘が幸せなら私たちはなにも反対する理由がないものね。ねえ、お父さん?』


母が柔らかく目を細めて、父に話しかける。


『……ああ、そうだな。板谷さん、どうか娘をよろしくお願いします』


そう言って、愁さんに頭を下げた父の姿に視界が滲んでいく。


『はい、もちろんです。私のすべてで幸せにします』


愁さんは両親に向かって力強く首を縦に振り、頭を下げてくれた。
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