(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……沙和の話は館長からよく聞いていたんだ」


私を胸に抱きしめて髪にキスを落とした彼が唐突に話しだす。


「親友の大切な孫で、日焼けや土、虫を嫌がりもせずに熱心に手伝ってくれる素敵な女性だと何度も言われて、ずっとどんな女性だろうと思っていた」


初めて耳にした話に思わず瞬きを繰り返す。


「思いがけなく出会って、それから沙和を知るたびに惹かれていた」


優しい声に胸が熱いもので満たされ、一旦止まりかけていた涙がまた滲み出す。


「泣き虫」


困ったように目を細めた愁さんが、涙をキスで優しく拭う。


「皆が外で心配して待っているから、今は少しだけ泣き止んで。そんな可愛い顔を俺以外に見せないで」


耳元でささやかれた甘い懇願に体温が上がる。

嬉しそうに口元を綻ばせた愁さんが腕をほどき、お互いの指をそっと絡ませた。

ふたりでテラス席に続く扉に向かって足を進め、扉を大きく開けた。


「沙和ちゃん、おめでとう!」


足を踏み出した途端、耳に飛び込んできたのは多くの祝福の言葉と拍手だった。

突然の事態に驚く私に、いたずらっ子のように片眉を上げた愁さんが教えてくれる。


「沙和と出会ったこの庭園でプロポーズしたくて、皆に協力してもらったんだ」


本当にこの人はどれだけ私に幸せをくれるのだろう。
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