(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「いいえ、そんな、いただけません」


「でもそれじゃ、申し訳ないから」


造園や建築のプロでもないのに受け取れない。

その旨を説明したところ、頼子さんは渋々納得してくれた。

そこで改めて私の希望を口にする。


「私では力不足だと思いますが、是非やらせてください」


普段からお世話になっている大好きな場所が、魅力的に変わる手伝いができるのなら、幸せだ。

失恋したばかりの今、なにか打ち込めるものがあるのはありがたい。

とくに趣味もなく、ひとりでいたら時間を持て余して塞ぎ込んでしまうだけだ。


「ありがとう。とても助かるし、嬉しい。じゃあ、これを正式に預かってちょうだい」


先ほど返したばかりの鍵を差し出され、目を見開く。


「私は部外者ですし、そんな大切な鍵をお預かりできません」


「沙和ちゃんはもう立派なうちの関係者よ。城崎さんもうちの一族も了承しているし、問題ない。協力してもらうお礼の代わりだとでも考えて。庭園は午後四時以降と祝日はお休みだけど、自由に出入りしてね。ああ、でも夜間はちゃんと連絡してよ、危ないから」


その後、何度辞退しても聞き入れてもらえず、押し切られるように預かってしまった。

さらに庭園改装の意見もゆっくりで構わないし気負わないでと言われ、さらに戸惑う。

大好きな庭園に自由に出入りできるのは嬉しいが、本当によかったのだろうかと小さな葛藤だけが残った。
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