(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「確かにすごくカッコイイ人だったけど……無理。板谷一族の人なんて雲の上すぎるし相手にされない。そもそもあれだけ恥をさらして合わせる顔がない」


「でも頼子さんに気にしなくていいって言われたんでしょ? お詫びの手紙も断られたんだっけ?」


すずの指摘にうなずく。


「うん、むしろ弟が迷惑をかけたから謝るのはこちら側だからって」


「その弟さんは、庭園を視察してたんでしょ。板谷の高い地位にいる人なの? 役職やどの部署に所属してるとか聞いた?」 


すずの問いかけに首を横に振る。


「年齢くらいしか知らないけど」


「まあ、私たち顧客と直に顔を合わせて話したりする機会は少ないからねぇ……あれ、でも、待って、板谷一族ってことはもしかして……」


そう言って、すずはなにかを考えるように眉根を寄せた。


「なに?」 


親友の反応が気になって尋ねる。


「ううん、ちょっと気になったんだけど、まさかね……偶然、視察に来ていただけなら今後顔を合わせたりもしないんじゃない? 過ぎた出来事として忘れたら? 気にしすぎ」


「……よくわからないんだけど、気になるから」


遅れて運ばれてきた鶏卵蕎麦を食べるため、割りばしに手を伸ばしながら答える。

すると親友が可愛らしく小首を傾げて尋ねた。


「なにが?」


「ホテルから黙って逃げた申し訳なさと後味の悪さ、かな。お金も返金されちゃったし」


先日頼子さんにホテルに置いてきたはずのお金を全額返された。

断ったが受け取って、と再び押し切られてしまった。


「本当にそれだけ? もしかして、一瞬で恋に落ちた?」


からかうような口調の親友に全力で否定する。


「まさか、違う」


「課長に片想いしてた頃でさえ、そんなに悩んだりしていなかった気がするけど。一回会っただけ、しかも少ししか話していない男性がそれだけ気になるなんてよっぽどじゃない? 運命かもよ?」


親友の反論にすぐに反応できなかった。
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