(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「待ってるだけじゃ運命の相手に出会えないって」


はっきり言い切る親友に肩をすくめて、告げる。


「運命の出会いなんてわからないし、私には訪れないから」


「もう出会ってるかもしれないのに?」


なぜか楽しそうに頬を緩める親友を尻目に口にした蕎麦の味は、よくわからなかった。



昼休みを終えて、会社に戻る。

するとなぜか周囲がざわついていた。


「今日ってなにかイベントの予定とかあった?」


エントランスを抜けて、隣を歩く親友に尋ねる。

本社では広いエントランスを利用し、時折、外部のお客様を招いて閉店後に演奏会やセミナーを行っている。


「特になにもなかったと思うけど……ボーナス時期だからじゃないの?」


財布を片手に握ったすずが興味がなさそうに返答する。

そっか、とつぶやき、エレベーターに乗り込む。

親友に手を振ってローン事業部に戻る途中、慌てた様子の男性社員数人に追い越された。


「浦部さん!」


自席に戻った途端、突然背後から大きな声で名を呼ばれ、ビクッと肩が上がる。

振り返ったところ、東京営業部の同期の男性がいた。

本部フロアにはトラブルなどがない限り、営業担当者はほぼ来ないのに。


「よかった、見つかって。至急三階応接に来てくれないか。許可は取ってあるから」


焦った様子で言われて戸惑う。

状況がわからず上司の席に視線を向けるが不在で、後輩も昼食中で離席している。

断れそうもなく、了承し立ち上がる。
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