(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「なにかあった?」


「板谷の取締役社長が来店されているんだ」


ローン事業部を出て、応接室に向かいながら同期が早口で説明する。


「しかも十分ほど前に突然ね。営業部内はなにかトラブルがあったのかと大慌てで」


板谷とうちとの取引は長く、関係も良好だ。

ただし多忙などの理由で板谷一族とは来店はおろか会社を訪問しても会えない場合が常だ。


「だが確認したところ、トラブルもなく、不興を買ったわけでもない。うちの社長は札幌出張中だから、外出中の副社長に今、至急戻ってきていただいてるところだ」


「ええと、事情はわかったけれど……どうして私が呼ばれているの?」 


「板谷社長が浦部さんに会いにきたって仰ったんだ」


同期の言葉が理解できず、瞬きを数回繰り返す。


「なんで……?」


「いや、それは俺たちが聞きたい。浦部さん、板谷社長と面識がある?」


疲れたように問われて、首を横に振って否定する。


「まさか、ない」


「まあ、そうだよな。営業部の上司に浦部さんを呼ぶよう指示されて、探していたんだ」


先ほど、エントランス付近がざわついている理由がわかった。

改めて板谷一族の影響力の大きさを思い知る。
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