(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……なにを考えている?」


至近距離から覗き込まれ、思考が中断する。

真っ直ぐな視線に頬が熱くなり、後ずさりをする私の腰に長い腕が回されて、目を見開く。


「ほ、本当に申し訳ありませんでした。なんてお詫びをしたらいいか」


再び謝罪して離れようと動いた途端、腰に回った手に力がこめられる。


「浦部さんは何歳?」


そのままの体勢でにこやかに尋ねてくる。

丁寧な口調だが、視線は冷ややかだ。


「二十八歳です」


「その年齢で危機管理能力がないのか? 失恋で泥酔したうえ見知らぬ男にホテルに連れ込まれてるのにお礼だ、お詫びって。世間知らずすぎるだろ。俺に取り入るつもりだったんじゃないのか」


そう言って、私を鋭くにらみつける。


「違います!」


「じゃあなぜ、鍵を持っているのにわざわざ姉に入園する連絡を入れた? そもそもどうして飲酒を? 姉を味方につけて俺が酔いつぶれた君を介抱するように仕向けたんじゃないのか?」


理解できない筋書きすぎて一瞬思考が止まりかけた。


「大方、俺について事前に姉に聞いていたんじゃないのか?」


……まさか私が罠にはめたと疑っているの?


「私が頼子さんに連絡をしたのは約束していたからで、頼子さんが板谷家に縁の方なのはもちろん、弟がおられるのも知りませんでした。飲酒は申し訳ございません。どうしても真っすぐ家に帰りづらかったんです」


感情が乱れて震えそうになる声を必死に絞り出して、説明する。

緊張と混乱、僅かなイラ立ちで胸が鈍く軋む。
< 30 / 149 >

この作品をシェア

pagetop