(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「いいえ、あの、後で自分で」


「また失くしたら大変だし、この間は俺が外したんだから今さらだろ」


誤解を招きそうな物言いに目を見開く。

押し問答を繰り返したが、壊れていないか確認が必要などと聞き入れてもらえず、ピアスを差し出す。


「動かないで」


低い声が耳をくすぐる。

耳にそっと触れる骨ばった指先と近すぎる距離に頬が燃えるように熱く、呼吸が苦しくなっていく。


「俺も贈ったらつける?」


ピアスをつけ終えた彼の質問に瞬きを繰り返す。


「……贈られる理由がありません」


「即答だな」


ハハッと社長が小さく声を漏らす。

冗談なのか本気なのかやはりわからない。


「どうしてピアスを届けてくださったんですか?」


以前とは違う優しい視線と口調に気が緩んだせいか、ずっと胸に残っていた疑問が口から滑り落ちる。


「届けるって言っただろ?」


「でも郵送とかほかの方法もありますよね」


「届けてほしくなかった?」


真っすぐな質問に、慌てて言葉を重ねる。


「違います。気に入らない相手になぜ親切にしてくださるのかと……」


「浦部さんに会いたかった。気に入らない相手にかまうほど、俺は暇でも親切でもない」


率直な言い方に心が落ち着かない。

この答えをどう受け取ればいいのか思案する。

そっとほつれた髪が耳にかけられ、長い指が私の髪をゆっくり梳く。
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