(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
そのとき、突如後輩の声が響いた。


「失礼します、日高です」


ハッとして、彼から離れなければと急いで足を動かした途端、もつれて体が傾く。


「危ない」


板谷社長が長い腕を伸ばし、抱きとめてくれた。

転ばなかったのはありがたいが、この体勢は大いに困る。

室内に姿を現した後輩は抱き合っている私たちを見て目を見開く。


「ち、違うの、私が転びそうになって……」


説明をしかけた私を遮って、柔らかく表情を崩した板谷社長が口を開き、私の肩をぐっと引き寄せた。

いたずらっ子のように楽しげな目を後輩に向ける。


「日高さん? 申し訳ありませんがこの件は内密にしておいてくれませんか?」


「ど、どういう意味ですか?」


緊張と動揺を隠しきれない後輩が声をうわずらせて尋ねる。


「誤解が解けて、浦部さんにやっと私の気持ちを受け入れていただき、正式な婚約者になったところです」


ちょっと待って、なにを言い出すの?


「ああ! それで沙和さん、板谷社長の今日の来訪や過去の噂を気にされてたんですね? 言ってくださったらよかったのに。もちろんおふたりの仲についても他言しません!」


「へえ……気にしてたの?」


どこか楽しげな声が頭上から落ちて、肩に置かれた手になぜか力がこもる。

否定したいのに今となっては言い出しにくい。
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