(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
触れている箇所から伝わる体温に胸が切なく締めつけられ、近すぎる距離に心が揺れる。

ふいに肩から頭をおこした彼に至近距離で見つめられて、鼓動が再び大きく跳ねた。


「ピアスが違う」


自由なほうの手の長い指がそっと私の耳朶に触れる。


「あ、あれは主に仕事のときに付けているので」


仕事で落ち込みそうになったときもお気に入りのピアスがあれば気持ちが少し上向く。

理由を説明したところ、愁さんが少し首をかしげて尋ねる。


「じゃあ俺が贈ったら、つける?」


いつかと似たような質問に、できるだけ平静を装って、前回と同様丁重に答える。


「いただく理由がないので、お気持ちだけいただきます」


「城崎さんからは受け取ったのに?」


「あれは……」


返答に窮する私に彼がたたみかける。


「婚約者に贈りものをするのは普通だ。拒否をするならずっと指は離さない」


そう言って、繫いだ手を持ち上げて絡まる私の指先に小さく口づける。

柔らかく触れる唇に胸が詰まって呼吸が苦しくなる。


「なんで、こんな真似……」


甘い脅しに頬が熱を持つ。


「大事な俺の婚約者だから」


妖艶な眼差しで私を見つめる彼のもう片方の手が耳から頬へと滑る。

頬を包み込まれさらに近付く距離にうろたえる。


「わ、わかりました、いただきます」


必死の思いで慌てて返答する。


「ただし、高価でないもの、それと私にもなにか贈り物をさせてください、これが条件です」


ハイブランドのピアスなんて贈られたら怖くてつけられないし、愁さんからは以前も靴のグッズをもらっている。


「本当に……可愛すぎる」


私の頼みに甘く表情を崩すこの人にはもはや敵いそうもない。
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