(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
突然のあり得ない展開に焦りながら口を開く。


「無理です、私には務まりません。か、帰ります」


「こんな言い方はしたくないけど……以前ここで沙和を介抱したときの礼代わりに俺の願いを聞いてもらえない?」


ほんの少し傷ついたような表情を浮かべる姿が腹立たしい。

今になって以前の失態を持ち出しておいて“お願い”だなんてズルい。

私に選択権を与えるふりをしているだけ、断らないって絶対にわかっている。


「……私では力不足です」


「沙和がいい」


「結婚式仕様のメイクなんてできません」


「プロがいるから問題ないよ」


「ヘアアレンジは……」


「心配ない、大丈夫」


なにを言ってもあきらめないうえ、すぐに切り替えされる。

段々と根気負けしてきた私は小声で尋ねた。


「……今回だけ、ですよね?」


「もちろん」


「……だったら」


「ありがとう、助かる」


私がはっきり返事しないうちに、麗しい微笑を浮かべて結論づける。

まんまと乗せられた気がしてなんだか悔しくなるのは私が狭量だから?


「素敵な花嫁姿を俺に見せて。楽しみにしてる」


耳元でささやかれて、体がカッと熱を持つ。

本物の花嫁じゃないとわかっているのに、胸の奥まで熱くなる自分に戸惑う。
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