(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「館長に久しぶりにお会いしたかったし、相談もあったから」


そう言って長いまつ毛を伏せた女性はバッグを強く握りしめる。


「よかったら、愁くんもパーティーに参加してくれない? それと、この招待状を館長に渡してほしいの」


バッグから取り出した真っ白な封筒を差し出す。

きつく唇を噛みしめる女性はまるで泣き出す寸前に見えた。

愁さんは小さくうなずいて封筒を受け取る。

幾分ホッとした様子の女性の視線が私に向く。

絡められたままの指からまるで値踏みするかのように凝視され、居心地の悪さに視線を逸らす。


「沙和」


愁さんがいつものように穏やかな声で私の名を呼ぶ。

向けられる眼差しも先ほどと変わらない。


「愁くん、こちらはどなたなの?」


視線を外さずに、女性が愁さんに尋ねる。


「俺が将来を真剣に考えている、大切な女性だ」


思いがけない返答に、目を見開く。

驚く私をなだめるように、彼はゆっくり指をほどいて腰に手を回し、引き寄せる。


落ち着いて、これはきっと演技よ。


私たちはお互いのメリットのために一緒にいるのだから。


「そう……とても仲が良さそうで羨ましいわ。はじめまして、辺見千奈と申します。愁くんの元婚約者です」


そう言って、女性は口元だけで微笑む。
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