(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
当初会場はオープン予定のカフェだったが、招待客も増えたため安全性なども考慮し変更したという。

パーティーの主催者で辺見さんの婚約者の立花さんは、主にカフェ事業を営む敏腕経営者だと愁さんに教えられ、思い出した。

立花さんは当社の取引先のひとりで、法人戦略室が東京営業部とともに担当していた。

もしかしたら今日のパーティーにはうちの社員も招かれている可能性がある。

そんな場所に足を踏み入れてよいのか不安になって愁さんに再度確認したところ、沙和を婚約者として紹介できるいい機会だ、などと真剣な表情で言われた。

会場内に入った途端、華やかなその場の雰囲気に圧倒された。

そしてなによりも愁さんへの注目が凄まじかった。


「板谷社長よ、相変わらず素敵ね」


「本当に。こういったパーティーに出席されるなんて珍しいわね、夫に伝えなくては」


周囲にいる人々が、我先に話しかけようと向かってくる。


「――沙和は俺の声だけを聞いて、そばにいて」


緊張している私を気遣うように、彼がそっと耳打ちする。


「俺の婚約者はとても魅力的だから」


私に忠告をし、彼は押し寄せる人たちに向き合った。

私はほんの少しその場から下がる。


「社長は普段パーティーにはほとんど出席されません。ですので、出席された際には話をしたがる方が大勢いらっしゃいます」


背後から津田さんが助言してくれた。

パーティーに不慣れな私のために、今日は津田さんも同行してくれている。

愁さんが人々に取り囲まれ、私がひとりにならないための配慮だろう。

その温かさが嬉しい反面、申し訳なかった。
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