(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「浦部さん?」


背後から声をかけられ、反射的に振り向く。

そこには、黒のドレスを着た長身の女性とともに課長が立っていた。


「よかった、やっぱり浦部さんだった。普段の様子とは違うから、人違いかと思ったんだ。そのドレスよく似合っているね」


「ありがとうございます……」


「紹介するよ、妻の萌絵(もえ)。東京営業部で勤務している」


「……初めまして、浦部です」


「こちらこそ、よろしくね。浦部さんの話はこの人からよく聞いていて、一度お会いしたかったの。本当に可愛らしい方ね」


そう言って、萌絵さんは傍らの課長を見上げ、ふたりは微笑みあう。

その柔らかな雰囲気に多少の複雑さは感じたが、不思議と胸は痛まなかった。


「――私の婚約者を褒めてくださり、ありがとうございます」


不意に腰のあたりに大きな手が触れ、体が引き寄せられる。


「愁さん?」


「板谷社長、いつもお世話になっております」


課長夫妻が彼に挨拶をする。


「いえ、こちらこそ。沙和を指導してくださっていたんですよね」


「はい。彼女はとても真面目で、任せた仕事をしっかりやり遂げてくれます」


「ええ、よく知っています。悩んだらやけ酒をするような繊細な女性なので、心配で目が離せないんですよ」


そう言って、愁さんは私を誘惑するような甘い目で見つめる。
< 86 / 149 >

この作品をシェア

pagetop