(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「それは……さすがよくご存知ですね」


課長は困ったような表情を浮かべていた。

一方の私は愁さんの発言の真意がわからずにうろたえる。

由真ちゃんへの婚約宣言により、一部の人たちには婚約を知られている。


「とても可愛い、大切な婚約者なので」


照れもせず堂々と言い切る姿に鼓動が一気に暴れ出す。


「すみません、沙和に飲み物を渡したいので少し失礼します」


「どうぞ、お引き留めしてすみません」


「いえ、では」


にっこりと魅力的な笑みを浮かべるこの人は本当に策士だ。

私も慌てて頭を下げてその場を離れる。

ほんの少し人気の少ない会場の端に誘導され、愁さんを軽くにらむ。


「なに?」


「なんで課長にあんな言い方を? 私のやけ酒話まで持ち出すなんて」


「俺の知らない沙和を知っているのが、面白くなかったから。なにより失恋相手だし」


綺麗な二重を細め、さらりと口にする。


「え……?」


以前に私の失恋を確認していたくらいだし、相手を知っているのはさほど驚かないが、意外すぎる返答に瞬きを繰り返す。


「俺は沙和だけには嫉妬心が強いから、気をつけて」


ふわりと形のよい唇を綻ばせて、耳元でささやく。

その色香のこもった声に心が落ち着かないうえ、返答が見つからない。


「挨拶はもう少しで終わるからすぐ戻る……待っていて」


動揺を隠せずにいる私の頬を軽く撫でて、彼は混雑した場へ戻って行った。
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