(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「ドレスではなく、色が重要なの。青とゴールドは板谷ホールディングスのイメージカラーよ。親族以外の未婚女性がこの色のドレスを着て板谷の人間にエスコートされれば、“正式な”婚約者という意味になる」


知ったばかりのドレスの秘密に驚きを隠せない。

堤チーフやパーティーの出席者の反応の理由が今になってわかった。


「何度頼んでも聞いてくれなかったのに……私だって特別扱いをされたかった」


「……私はドレスの色についてなにも愁さんから聞いていません」


「まさか偶然だとでも言うつもり? そんなわけないじゃない」


辺見さんはきつく唇を噛みしめ、大きな音を立ててお手洗いから出て行った。

今となっては、鏡に映る綺麗なドレスを見るのがつらい。

ますます愁さんの真意がつかめず、心が鉛のように重くなっていく。

しばらくその場で動けずにいたが、さすがに出て行かなくてはと考え、のろのろと手を洗って外に出た。

そこには愁さんが心配そうな面持ちで立っていた。


「沙和、大丈夫? 具合が悪い?」


「いいえ、平気です。離れてすみません」


取り繕うように早口で返答する。


「千奈もいたみたいだけど、なにか言われた?」


気遣われ、ずいぶん長い間待っていてくれていたのだと知る。

辺見さんからドレスの意味を聞いたと素直に伝え、愁さんがこの色を選んだのは故意なのか尋ねるべきだろうか。
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