【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
すると、どこかで誰かの泣き声がしたためシルヴィーは気になって声のする方へと進んでいく。
そこには泣いている令嬢とそれを宥める令息の姿があった。
けれどシルヴィーは二人が着ているドレスや、一際豪華な刺繍に釘付けになっていた。

(金色や銀色の綺麗な刺繍……なんて繊細な柄なのかしら。よく作り込まれているわ。ドレスの刺繍やレースの柄も本当に素晴らしいのね。わたしもこんなふうに作れたらいいのに)

シルヴィーには彼らが誰かはわからない。
けれど二人の服装からして高貴な身分なことだけは確かだ。
髪色や瞳の色は覚えていないが、美しい刺繍だけは今でもハッキリと覚えている。

(うわぁ……素敵すぎる。どうしたらわたしもこうなれるかしら)

令嬢の手には穴の開いたジャボがあった。
主にレースで出来ており袖口と共に装飾の役割を果たしている。
令息の首元には何もないため、彼のものなのだろう。


『このあと、お兄さま挨拶があるのにっ、わたくしのせいでぇ……!』

『大丈夫だから落ち着いて』

『……もう嫌! 今日を楽しみにしていたのにっ』

『どうしよう……困ったな』
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