【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
(母って……王妃陛下のことよね?)

シルヴィーは自分の作ったものがすべてここにあるのではと思ったが恐ろしくて聞き返すことができなかった。


「全部ではないけれど、ほとんど買い占めてるんじゃないかな。君が作ったものから温かい魔力を感じるそうなんだ」

「心を読むのをやめてくれませんか!?」

「顔に出てるからつい……」

「出てません!」


それからホレスと共に環境に慣れるためと、レースを編み上げるために一カ月ほどは部屋でゆっくりしていいそうだ。
話が落ち着いた頃、アデラールから「お茶でもどうかな?」と声がかかる。
結局はアデラールの望み通りになっているような気がした。

すると再び部屋をノックする音。
次から次に人が訪れりではないか。扉が開くと、そこには今にも泣き出してしまいそうなホレスの姿があった。
ギュッと腹部辺りの服を掴みつつ、肩を揺らしている。
彼の後ろには申し訳なさそうな表情の侍女たちが三人ほど追いかけてくる。


「ホレス、どうしたの? 何か悲しいことがあったの?」


シルヴィーがホレスの名前を呼ぶと、涙が流れていく。


「ばぁば、ままぁ……!」

「……ホレス」


ホレスはシルヴィーに突撃するように抱きしめる。
環境が変わり、シルヴィーや母がいなかったことで急に不安になってしまったようだ。
胸に顔を埋めるホレスは凄まじい力でシルヴィーの服を握りしめているではないか。

シルクの寝間着に鼻水がべったりつくのを避けるために反射的に体を離してしまうが、さらに食い込む頭。
ホレスは我慢させてばかりだ。シルヴィーから絶対に離れようとしない彼を宥めていると……。
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