【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
執事の言う通りだった。ミリアムはこの状況がまったく理解できていない。
今まで理不尽な命令をしてもミリアムに従っていた者たちは今では敵のようだ。
それに気のせいでなければシルヴィーを慕っていたように聞こえる。
嫌な予感に心臓が激しく動いていた。


「考え直してくれないだろうか。もう少しで大金が手に入るんだ」


それはシルヴィーを売って得る金のことだろう。
金さえあれば使用人たちはここにとどまるはずだ。


「そ、そうよ! ここを出て行っても居場所なんてないでしょう?」

「主人に歯向かうならどうなるかわかっているのか!? 職を失うことになるんだぞ! そ、それに契約違反だ」


父は脅すようにそう言った。
これで解決するだろう、そう思っていたミリアムの考えは簡単に覆されることとなる。


「構いません。この現状を訴える準備はできていますが、契約違反で罰せられて困るのはどちらでしょうか」

「なっ……!」

「もう遅いのですよ。今まで目を背けていた問題に直面することになるでしょう。だけどシルヴィーお嬢様はもういません」

「ま、待ってくれ! 金はちゃんと払う。約束するからっ」


彼らはまったく動じることはない。強気な言葉にミリアムは唖然としていた。

シルヴィーが出ていくのに合わせるようにして次々と出て行ってしまう。
侍女がいなくなれば美しいドレスも着られない。
庭師がいなければ庭の自慢ができない。
シェフがいなければ料理も食べられないし、執事が働かなければ屋敷が回らない。
そのくらいはミリアムにでも理解できる。

(どうしたらいいの。なんとか引き止めるのよ……!)
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