【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
新しい侍女たちは義母とミリアムの横暴さに耐えられずに辞めていく。
彼女たちと結託してシルヴィーを虐げることもできただろうがそこまで頭は回らなかったのだろう。
自分たちのわがままを通す方が有先のようだ。
むしろ部屋にこもって反抗もしないシルヴィーを敵とも思わなくなったのかもしれない。

(逃げてしまうのは簡単だけど、残す人たちのことを考えると……)

幸いなのはレンログ伯爵家が評判が悪すぎて婚約者ができないこと。
ついには領地の管理までおざなりにし始めた父にため息しか出てこない。
今日も義母は『領民たちの税を上げさせろ』と、執事を怒鳴りつける。

(もう終わりだわ。お父様も役に立たない……わたしがなんとかしないと)

このままでは共倒れになってしまう。
執事と共に、ここまで働いてくれた侍女や庭師やシェフたちに次の仕事先が見つかるまではと耐えていた。
これさえ終われば母の元へ行ける……。
シルヴィーは手を止めて窓へと向かい、扉を開ける。

(今日も綺麗な青空……この国が平和なのも王族の方々のおかげなのよね)

この国の王族は、貴族たちが持つ魔法とは比べものにならないほどに特別で大きな力を持って生まれてくる。
シュマイディト王国の王族の血筋を持つ者のみに発現する力でかなり強大だということ。
代々、その力で王国の危機を救ってきたそうだ。
竜巻や嵐を押し返す風魔法。
戦争が起こりそうな時は国を囲むような火魔法を。
大規模な旱魃が起こった際には恵の雨を降らせる水魔法を。
地震を鎮める地魔法など、その時に合わせた力を与えられるといわれている。
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