【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「シルヴィー、お茶をしないかい?」
「よろしいのですか?」
「もちろん。それにデートっぽいでしょう?」
シルヴィーは断る理由もなく頷いた。
街角にあるひっそりとしたカフェ。かなり落ち着いた雰囲気だ。
どうやらここは国王夫妻も若い時によくお忍びできていたそうで、アデラールを見てすぐにこの場所に案内してくれた。
周りからは見えない席で、ここならゆっくりと話せるだろう。
彼は変装用の帽子と眼鏡を取る。
すぐに運ばれてくる紅茶とケーキ。
宝石のように艶々とした苺や真っ白な生クリームに釘付けになった。
甘いものなどめったに食べられることはなかった。それはレンログ伯爵家にいる時から変わらないが。
ふんわりとしたスポンジにフォークをさして口へと運ぶ。
甘い生クリームと苺の甘酸っぱさが口内へ広がっていく。
(この味……なんだか懐かしい)
ふと幼い頃に母と二人で一緒に食べたケーキの味を思い出す。
自然と涙が溢れそうになり、ぐっと耐えた。
折角、素敵な場所に連れてきてもらったのにこんなところで涙を流せばアデラールも困惑するだろう。
(我慢するのは昔から慣れてるもの……)
少し俯きつつも「おいしいですね」と、言おうとしたシルヴィーはアデラールが立ち上がっていることに気づかずにいた。
いつのまにかシルヴィーの横にアデラールの姿があった。
「よろしいのですか?」
「もちろん。それにデートっぽいでしょう?」
シルヴィーは断る理由もなく頷いた。
街角にあるひっそりとしたカフェ。かなり落ち着いた雰囲気だ。
どうやらここは国王夫妻も若い時によくお忍びできていたそうで、アデラールを見てすぐにこの場所に案内してくれた。
周りからは見えない席で、ここならゆっくりと話せるだろう。
彼は変装用の帽子と眼鏡を取る。
すぐに運ばれてくる紅茶とケーキ。
宝石のように艶々とした苺や真っ白な生クリームに釘付けになった。
甘いものなどめったに食べられることはなかった。それはレンログ伯爵家にいる時から変わらないが。
ふんわりとしたスポンジにフォークをさして口へと運ぶ。
甘い生クリームと苺の甘酸っぱさが口内へ広がっていく。
(この味……なんだか懐かしい)
ふと幼い頃に母と二人で一緒に食べたケーキの味を思い出す。
自然と涙が溢れそうになり、ぐっと耐えた。
折角、素敵な場所に連れてきてもらったのにこんなところで涙を流せばアデラールも困惑するだろう。
(我慢するのは昔から慣れてるもの……)
少し俯きつつも「おいしいですね」と、言おうとしたシルヴィーはアデラールが立ち上がっていることに気づかずにいた。
いつのまにかシルヴィーの横にアデラールの姿があった。