【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「今までよく一人でがんばったね、シルヴィー」

「……!」

「ミーシャさんも君がいなければ今日まで生きてはいなかったと言っていたよ。シルヴィーはずっとあの家で耐えてきたんだろう?」

「ぁ…………」


ミーシャとはシルヴィーの母の名前だった。
アデラールは母から話を聞いたのだろうか。


「つらかったね。こんなことならもっと早く君を見つけだせていたら苦しい思いをさせずに済んだのに……自分の愚かさが恨めしいよ」


シルヴィーは首を横に振る。決して彼のせいではないからだ。
愛されて幸せそうなミリアムを前に、いつまでも諦めきれなかった自分が悪い。
いつかはわかってくれるかもしれない、がんばれば認めてくれるかもしれない……そう信じて待っていたことが、そもそもの間違いだった。
こうして街で生活ができたからこそ、現実を知って諦めをつけることもできた。


「こちらこそありがとうございます。ホレスだけでなく、わたしや母を受け入れてくださったこと感謝しています」

「……!」

「今日、アデラール殿下とこうして一緒に過ごせてよかったです」


シルヴィーがそう言うとアデラールは微笑んでくれた。
アデラールに対して、恐ろしいという以外の感情が芽生えたことも大きいだろう。


「君にそう言ってもらえて本当に嬉しいよ。シルヴィーに嫌われていると思っていたけれど、そうじゃないと知れてよかった」

「嫌いだなんて……」


アデラールのことは、よくわからないというのが本音だ。
むしろ嫌われるようなことをしているのはシルヴィーの方だろう。
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